スカウティングをする意味
スカウティングと聞くと凄く難しい印象を与えると思います。しかし、1つずつしっかり整理すればどなたでも活用できる指導者としての大切なスキルです。
試合に向けて相手チームのことを把握しておくこと、自チームの現状を理解しておくことはとても大切なことです。
つまり、スカウティングとは、相手を知り、自分たちを知ることで試合に優位性をもたらすものだと考えています。
専門的な話よりも今回はまだスカウティングなんてしたことないという指導者の方へ実施プロセスをもとに押さえておくべき4つのポイントをお伝えしておきます。
対象は1種(社会人)にしていますが、部分的に別カテゴリーでも活用できると思いますので参考にしてみてください。
それではさっそく4つのポイントです。
情報収集
まずは相手を知る、自分たちを知るためには情報がないといけません。
どんな情報が必要になるのでしょう。
Web情報
HP・SNS
現代は情報化社会です。HP、SNSなど情報を発信しているクラブが多く存在します。
次の対戦相手はどのようなクラブなのか知る上では大切な情報になります。
クラブ理念、歴史、チームコンセプト、スタッフ構成、選手人数、年齢などを把握するには貴重な情報です。
この情報を元に自チームと比較すると見えてくるものもあるでしょう。
公式記録
所属しているリーグにおける過去の記録や今季の記録など把握できます。
順位、星取表、得点、失点、得点者、出場選手など情報として得ることができます。
当然、同じリーグであれば自チームの記録も見れます。
それを見るだけで相手が攻撃的なチームなのか、守備的なチームなのかだけでも把握できると思います。
これをもっと専門的に活用する方法は今後機会があればご紹介します。
映像
相手チームの試合を映像を入手できれば非常に貴重な情報です。
むしろスカウティングの土台になるものです。極力直近の試合の映像が理想です。さらに精度を高めるには複数試合あると良いでしょう。
個人的には公式戦とトレーニングマッチの両方を観ることが多いです。
トレーニングマッチには、チームとしてその後にチャレンジしようとする傾向が現れることもあるので、そこから逆算することで様々な予測もできます。
この映像が、この後の工程にあるフィルタリング、編集で重要なものとなってきます。
視察
自分の目で対戦チームのトレーニング、トレーニングマッチ、公式戦などを観ることも大切です。
映像だけでは観れないチームの雰囲気や個性を把握することができます。
自分たちが対戦した時にどこにストレスを感じるか、どこでストレスを与えることができるかなどイメージすると良いかもしれません。
それメモなどで残し、後からでも記憶を呼び起こせるようにしておくと良いでしょう。
フィルタリング
あらゆる情報に対して指導者のフィルターを通します。
今はざっくばらんに集まった情報になっているかと思います。それを取捨選択していく作業がフィルタリングです。
①選手が必要な情報 ②指導者だけが把握しておけば良い情報 ③必要のない情報
以上、3点をまとめておくと良いでしょう。
特に①に関しては選手に落とし込むものなので非常に重要です。
ここの情報の選択が指導者としての色が出ると思っています。
これは正解がないと思いますし、ここが指導者としての醍醐味であるように感じています。
編集
具体的にフィルタリングされた情報を編集していきます。
編集と言っても映像とは限りません。書面にして落とし込むこともあるでしょう。
フィルタリングされた情報を整理して、簡潔にA4サイズ1枚にまとめる。また、PCにパワーポイントなどを活用して数シートにまとめておく。個人的にそんなことを行ったこともあります。
ただし、やはり一番効果的なのは映像だと思います。
実際に目で見て映像と言葉をリンクさせることでイメージが活性化します。
↓↓↓↓映像編集方法について知りたい人はこちらも合わせてどうぞ↓↓↓↓
フィルタリング方法にもリンクしてきますが、映像をどのように編集してまとめるか、それは専門的な話になってきますので今後機会を見つけて紹介していきます。
まず相手チームの情報にフィルタリングをかけ、自チームの情報にもフィルタリングをかけることで精度の上がった情報になっているはずです。
大切なことはバラバラな情報をまとめ、整理することがここでは必要になります。
プレゼンテーション
選手にどのように落とし込むか。その構成を考えます。
紙なのか、ホワイトボードを活用するのか、映像を見せながらなのか、部屋でやるのか、コートで行うのか、どれくらいの時間で行うのか。
そのようなことを詰めていきます。
当然、伝える温度感、間合い、視線、立ち振る舞い、言葉を選びなどビジネススキルで求められるプレゼンテーションスキルと同様に必要なものになってきます。
情報収集、フィルタリング、編集までうまくできても最後のプレゼンテーションが失敗すると全てが水の泡となります。
指導者がイメージしているものがどれだけ正確に伝わるかがここの質で決まります。
またいつ選手に落とし込むかも重要です。
試合の前日、1週間前、2週間前などタイミングは様々です。個人的には1週間前に落とし込んで、それを反映させたトレーニングを1週間行うようにしています。
Fリーグなどのトップクラブは年間ほぼ毎週公式戦が訪れるので1週間の始まりに次節のスカウティングを落とし込むのがスタンダードです。
スカウティングの質を決める最後の締めくくりとしてとても重要なものになります。
最後に
今回はスカウティングのベースとなる実施プロセスを紹介させてもらいました。
この4つのポイントさえ押さえておけば、チームにとってポジティブに働くものになるはずです。
筆者が現在フットサルを専門に指導していることからフットサル寄りのスカウティングとして紹介しておりますが、大まかなプロセスはサッカーでも活用できると考えています。
より専門的にスカウティングを行う際に、サッカーとフットサルでの競技特性が出てくるので手法が異なってくるとは思います。
スカウティングをしたから試合展開が全て把握できるわけではありません。
あくまでも事前情報にしか過ぎません。
試合は変化するものであり、駆け引きが生まれます。相手チームが事前に情報収集した内容とは異なる選択をしてくることもあります。
そこまで選手に理解させて、プレゼンテーションの際に落とし込むことも重要になるでしょう。
トップクラブではアナリストと呼ばれる分析担当のスタッフがいます。それだけ、相手チームと自チームを分析することは大切ということです。
現代のフットボールはより戦略的で緻密になってきています。だからこそそれを打破するためにスカウティングは必要なのでしょう。
どんなレベルの試合でも相手を知ること、自分たちを知ることはポジティブに働きます。
是非、まだチャレンジしていない方はこれを機会に実践してみてください。
最後に著名人の言葉で締めくくらせていただきます。
山ほどある情報から自分に必要な情報を得るには
「選ぶ」より「いかに捨てるか」のほうが重要なのである。
羽生善治
以上、お読みいただきありがとうございました。
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