現在では強豪クラブのみならず、多くのクラブがセレクションを実施しています。
つまり、そこをクリアできないと入団できないため少なからず人生を左右する“イベント”ごとになっています。
特に「小学生→中学生」、「中学生→高校生」という時期は、受験同様、クラブ(学校)選びが選手、保護者のストレスとなっているようにも感じます。
今回は、セレクションで指導者視点としてどのカテゴリーでも共通している見ているポイントを紹介したいと思います。
セレクションを行う意味
そもそもなぜセレクションを行う必要があるのか。
現在、特にサッカーは、ジュニアユース、ユースとクラブ数も増えており競争が激化している。
少しでも良い選手を獲得するために、ふるいにかけスタートラインを引き上げることで競争をリードしていきたいというクラブの狙いであろう。
ただ評価されるクラブはセレクションに参加する選手が100人〜200人と集まるが、小さなクラブは20人〜40人前後となる。
そもそも運営を安定させていくためにはセレクションが足かせになる可能性もあるだろう。
よって、今回紹介するポイントは、ある程度評価されているクラブにおいて開催されているセレクションをイメージしていただければと思います。
それではポイントとなる4つを紹介していきます。
技術
・リフティングが○回できる
・無回転シュートが打てる
・○○なフェイントができる
・ノールックパスを得意とする
事前に選手情報などで文字として見ることがあります。
これが参考にならないわけではありませんが、合否に直接関係するかというとそこまで効果を発揮しません。
大切なことは、どのようにその技術を使うかです。
リフティングたくさんできても、そのボールタッチをゲームで表現できなければ意味がありません。
無回転シュートが打てても、そもそもシュートが打てる状況を作り出さないといけません。
フェイントができても、自陣で数的不利な状況で発揮しようとしては逆の評価になるかもしれません。
ノールックパスで相手を騙せなければ効果がありません。
技術というのも、フットボールの競技特性上、「蹴る(打つ)・運ぶ・止める」という要素が色濃く現れます。
この3つに対してそれぞれのクラブの基準があり、それを満たしているか否かで評価は出てきます。
その技術を試合(相手がいる中)で、発揮すべき場で的確に発揮しているかが重要です。
戦術
フットボールの中で、曖昧で緻密な要素。
・戦術理解度が高い
よく耳にする言葉だと思います。
インテリジェンスが高く、効率的、効果的な実行や選択ができる選手である印象があります。
これはセレクションにおいてポジティブな評価となることは間違いありません。
特に競技特性上、フットサルは高い評価となる傾向にあります。
戦術理解度が高いということを敢えて言語化するとすれば、3つの事項からなると考えます。
①技術の効果を理解している
1つは、その技術がどのような効果を発揮するか理解している。
例えば、スペースにボールを運ぶとセカンドDFを引きつけることができる、敢えて足元にボールを止めて相手に飛び込ませてセカンドタッチで突破する、などその技術の効果を理解していること。
②スペースの創出・占有・利用を行える
フットボールの重要なキーファクタートなるのは「スペース」である。
特にフットサルはサッカー以上に時間とスペースが限られています。
どう動くとスペースが創り出せるかを把握しており、そのスペースを見つけることができ、そこを利用することで得られる効果を理解しているということである。
③グループ・チームの最適化を図れる
個人で得られるメリットよりもグループ、チームで得られるメリットを理解でき、相手を打倒する、試合に勝利するという目標、目的に最適な選択ができる。
例えば、2対1でDFラインを越えるのに味方のポジショニングが良いときにパスを選択できる。
これは個人で突破するよりも、グループで突破するという方がメリットがあり、目標に対して最適化したことになる。
1つ言えることは、セレクションにおいて技術と異なり戦術は「見えづらい」ものであり、選手の認知、決断などにも影響するものである。
パーソナリティ
その選手がどのような個性を持っているか、どのような人格かなども評価の1つです。
どのような環境で育ち、どのような性格であり、どのような家族構成の中で今に至っているかを指導者は気にします。
競技者としてのマインド
競争するスポーツである以上、勝敗にこだわる気持ちはとても大切です。
負けて良しとすることはほぼありません。
だからこそ、負けず嫌いな性格はとても大切な要素だと思います。
ルーズボールの争いに譲らない姿勢、倒れたとしてもすぐに起き上がる、常に勝敗に意識を傾けている。
競技者としてはベースにあるべきマインドです。
チームスポーツに適したマインド
チームスポーツであるので個人ではなく、チームに意識が向くマインドもとても大切なパーソナリティです。
喜びを共感したり、苦しい時に鼓舞したり、ネガティブな状況を励ましポジティブに傾ける。
そういった言動や振る舞いができることはチームに与える影響はとても大きいものとなります。
セレクションという初めて出会う選手が多い中でもそのようなことに意識が向いている選手はそれだけで目に留まるはずです。
競技者、チームスポーツということに関して最適なパーソナリティであれば自ずと評価されることになります。
将来性
目の前のプレーだけで評価できる選手もいますが、1年後、3年後を予測して評価することもあります。
いわゆる将来性を見込んで評価するものです。
身体的素質
フットボールは、速くて、大きくて、高くて、巧い選手が低い評価になることはほぼありません。
世界のトップ選手を見れば、身長は180cm以上はあたりまえ、センターバックでもスプリントスピードは速く、跳躍力もある。さらに足元の技術も長けている。
それが世界基準であったりします。
だからこそ、今は未熟でも将来その可能性がある選手は評価される傾向があります。
両親の身長であったり、兄弟の骨格、スプリントタイム、体のシルエットなど各クラブによって評価基準は様々なありますが、おおよそ以上のことを見ている傾向が強いです。
パーソナリティとのマッチング
競技者としてのマインドやチームスポーツとしてのマインドを持っている選手は、当然のごとくフットボールに適していると考えいます。
よって、日々真摯にフットボールと向き合うことで大きな成長を遂げることに期待できます。
今はまだ荒削りですが、本人の意思が明確であることから将来性が非常に高いと評価されることもあるでしょう。
パーソナリティとのマッチングがとても重要となります。
最後に。
選手本人だけでなく、保護者もストレスを感じてしまうセレクション。
合否に関しては、素晴らしい選手でも不合格となることもあります。こればかりはわからないです。
クラブの方針やポジションバランス、当日のコンディションなども含めると、どこか「縁」で結ばれたものなのかもしれません。
正直、正解がないものではありますが、指導者は少なからずベースとなるものを見ています。
今回紹介したポイントは以下のとおりです。
今後控えているセレクションに向けて何かの参考になればと思います。
何度もお伝えしていますが、正解が明確にあるものではありません。
最後は選手本人がフットボールを楽しみにながら全力でプレーすることが全てなのだと思います。
一人でも多く良い結果が出ることを祈っております。
以上、お読みいただきありがとうございました。
コメント