
フットサルの醍醐味はあらゆる戦略を立て、それを遂行し効果的に試合を進めることにあるように思う。それにより勝利を掴むことが監督としての大きな役割であるように感じる。
過去、自分が公式戦で実践した王道から少し外れる?であろう戦略を少しだけですが紹介します。
監督によっては普通に実践しているものもあるかもしれません。
良いも悪いもあるかと思いますが、ご参考になればと思います。
後出しじゃんけん。リアクションセットの創出。
次節の相手をスカウティングした結果、固定の2セットだった。
3−1で動的なピヴォを置く1stセット、4−0で流動的な2stセット。出場時間はプレイング2分をベースに交代していく。
そこでこの試合に取った策は、”後出しじゃんけん“である。
相手が出したセットに対して、こちらのセットを変更する。まさに”リアクションセット“を創ることでした。
能動的なチームにとっては大きなチャレンジでした。
受動的になることはネガティブに捉えがちです。失敗したとしても能動的にプレーした方がポジティブに捉えることができます。
よって、リスクがあるものではありました。
それでも遂行した理由は2つあります。
相手のピヴォに勝る強固なフィクソがいたことにより、相手ピヴォにおいてトランジションポイントを創り出したかった。
3−1ピヴォ当てによるインターセプトが成功すれば、確実に数的優位を生み出せる。
相手が引いて守ることが想定されたからこそ、相手の定位置攻撃を確実にトランジション攻撃に発展させたかった。
クイックネスに長け、忍耐強く、マンツーマンDF主体の献身性の高い4選手がいた。
これを4−0セットに当てた。マンツーマンDFとなると、引き出され背後のスペースを膨大に創出させてしまう。
しかし、縦方向からの圧力を高めることで自然と横パスが多くなり、長い距離のパスも出てくる。
この長いパスに対してアタックできるアジリティを持っている選手がいたこともあり選択した。
この策により常に同じ相手とマッチアップを繰り返すことになる。相手への適応力は非常に優れたチームであったため、相手を勝ることができると判断した。
実際は前半のみ実践して、見事1-0で折り返した。
後半はトラブルなどや相手セットの変化によってこちらも適応したので実践はしなかったが、結果、その試合を勝利することができた。
高速回転。集中を高めるプレイング1分交代。
セット数ににもよるが、1回出場する際のプレー時間はおよそプレイング1分30秒〜2分に設定している。
常に強度の高いプレーを維持するために、出場時間は比較的短めにしている。
ただこれを変化させることもある。それは選手の心理面に配慮した中で調整している。
緊張感ある試合は、プレイング1分ですらストレスがかかる。
ミスが許されない緊張感の中で極限の集中力が必要となります。
さらに強度が高い相手になればフィジカル的なストレスも大きくなる。
とある試合は、後半残り7分。
1点差で勝っている状況。そこで選択したのが”2セット1分交代“を実践した。
コート内で最大限の集中を保たせたかったため。
前半の疲労度も含め、ランニング3分が集中が続く限度と捉えた。ベンチでは常にコート内に入った時にやるべきことを整理して3分間集中して次へ繋げることを徹底させた。
さらに3:7でボール保持は相手。相手にボールを持たれると交代できるタイミングを逸してしまう。早いタイミングで交代していくことで守備強度を維持した。
相手のパワープレーの開始するタイミングへの警戒。
スカウティングに長けているチームだったので、自チームのパワープレー守備セットで一番重要なフィクソが誰かを把握していたと予測した。
その選手が疲労感を持ってベンチに交代したタイミングでパワープレーを開始すると考えていたため、そのタイミングへの揺さぶりとして短時間でセットを動かした。
結果、終盤にゴールを奪え、パワープレーを乗り越え何とか逃げ切ることができた試合だった。
キックオフ。意味の無いことが意味をもたらす。
時に意味の無いことをすることで、意味をもたらすこともあります。
日本語だけ見たら???ですよね。笑
具体的にお話しすると、
キックオフの時に、”ワンプレーで選手を1名交代“させたことがあります。
観ている人は「なんでだ?」となるかと思います。
当然、相手ベンチもその理由を少しは気にすると思います。
この「少し気にする」ということだけさせたかっただけです。
こいつら何かやってくるな、、、という些細なストレスをベンチにかけたかったわけです。
ただ、1名交代させた本当の理由が別にあったのです。笑
メンバー表は試合前に提出します。スタートの5人を決めておかなければなりません。
マイボールか相手ボールのどちらのキックオフになるかはその時点ではわかりません。
この試合はキックオフのセットプレーを用意していました。
よって、スタートをキックオフのセットプレーメンバーにしていました。でも、実際は相手キックオフからスタートしたので、ワンプレーで1stセットに戻すため1名交代させたという経緯です。
しかし、相手ボールになった時に先に説明したとおり”意味の無いことが意味をもたらす”のではないかと考えていたので、本来の目的のセットプレーができなくても二次目的は達成できるのではないかと思い実践しました。
その試合は勝利することができましたが、後半行ったキックオフのセットプレーで効果を発揮することはできませんでした。
でも、前半の意味のないことが少しでも影響をもたらした、、、と勝手に思っています。笑
前半残り5秒。超限定的セットプレー。
実際に行った5つと言いながら、実はまだこれについては実践していません。笑
2年間準備をしてきていますが、まだそのタイミングが訪れたことがありません。
詳しく内容はお伝えできませんが、”サプライズ”に近いものです。
かの有名な”ランチェスター戦略”がインスパイアされたセットプレーとなります。
後半ではできない内容であり、前半のみ有効なものです。
試合前に行うMCM(運営、審判、チームの試合前の会議)でのキックオフボールを取るか、陣地を取るかでも大きな影響を及ぼすものです。
しかも理想は前半残り5秒におけるキックインです。
これを準備した理由は2つ。
実力の差を埋めるため。
明らかなに対戦相手の方が実力が上、技術、フィジカルでは到底勝てないと判断していた。
そこで僅かなチャンスをものにするためにセットプレーへのトレーニングを徹底していた。
そして、その僅かなチャンスをさらに広げるためには”サプライズ”的な発想がないとゴールをこじ開けることができないと考えていた。
選手のモチベーションと雰囲気を最高潮にするため。
奇策を準備し仮に成功した時に、チームの雰囲気は最高潮になることを予想していた。こういう異様な状態を創らないと勝つことができない試合と判断していた。
もし、失敗してもネガティブな要素はない。普通にしていても負ける、と伝えていたので、恐れることはなかった。
当時、タイムアウト取らず実践できるように準備していました。
頭の良い人ならこれだけ情報を並べればある程度「こんな感じかな?」と絵が浮かぶかもしれませんね。
いつか実践したらまたこちらでご報告します。
フィクソをターゲットにした局地的パワープレー攻撃。
相手チームは絶対的なブラジル人フィクソがいる。
このフィクソを攻略しない限り、ゴールはできないとスカウティングの時に考えていた。
そこで出した答えは技術面、心理面へのアタックをすることでした。
具体的な策としては”パワープレー攻撃”になります。
考え方は以下のとおりです。
①ブラジル人フィクソが交代した瞬間にパワープレー攻撃を開始する。
②ブラジル人フィクソがコート内に入ったらパワープレー攻撃をやめてセットを変える。
③交代したセットは通常の定位置攻撃としてパワープレー攻撃を行わない。ボールを奪うことに長けた4人とする。
④パワープレー攻撃をやめるとブラジル人フィクソが交代する。そこですぐさまパワープレー攻撃を開始する。これを繰り返す。
2点差以上あれば後半残り8分という長めのパワープレー攻撃を実施しようと考えていた。
実際この試合は約7分半行った。個人的には今までの中で一番長くパワープレー攻撃を行ったものである。
実際、上で記載した①〜④の流れで実践しました。
パワープレー守備のために送り込まれたのに相手はパワープレーをやらない。1プレーごとに交代となるくらいの目まぐるしい展開に対して、ストレスも重なる。ベンチに座ったと思えばすぐ交代、交代したかと思えばすぐベンチに戻される。
普通イライラしますよね。自分ならイライラすると思います。笑
コートは我慢比べ状態でした。
このブラジル人フィクソはボールを運んで動かすよりもパスで動かすイメージだったので、交代で出てる4人のハイプレスによりショートカウンターへ移行できる可能性も高まると考えていました。
このためだけに出場させた選手も1人います。
ブラジル人フィクソの疲労感と心理的ストレスを間違いなく与えることに手応えがありました。
その状態を利用してパワープレー攻撃からゴールを奪いたかったのですが、それはできませんでした。
かき混ぜるだけかき混ぜて結果を出せませんでした。
ピンポイントのターゲットを決めて行ったパワープレー攻撃。一定の成果はあったものの、一番重要なゴールを奪うことはできませんでした。
結果を出すことにもっと注力していかないといけませんね。
最後に
監督は試合に勝利するためにあらゆる策を持っているものです。
それには様々な手法があり、中には異様な手法もあるかと思います。これが監督の色が出るところなのでしょう。
技に溺れて、本来の目的を見失ってしまうと意味がありません。
今後も自チームと相手チームの分析を行い、少しでも勝利する可能性を高める策を見出していければと思います。
以上、お読みいただきありがとうございました。